メーカー | SHARP | |
型名 | EL-S452-X | |
種別(メーカー分類) | 一般電卓(実務電卓|スリム&チルトディスプレイタイプ) | |
発売開始 | 2014年07月25日 | |
製造終了 | - | |
寸法 |
奥行 185 mm × 幅 128 mm × 厚さ 13 mm(公表値)
厚さを実測すると 16.5 mm だった。 公表値の厚さにキーとゴム足の厚みが入っていない。 |
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重量 | 200g(電池を含んだ公表値) 実測値の196gとほぼ一致 | |
入力方式 | 標準方式 | |
画面 | 白黒液晶7セグメント12桁+負号+状態インジケーター12個 | |
CPU | 不明 | |
RAM | 不明 | |
ROM/Flash | 不明 | |
電源 | CR2032 × 1+太陽電池 | |
プログラミング言語 | なし | |
公式ページ | 電卓 EL-S452-X:シャープ | |
説明書URL |
取扱説明書ダウンロード│電卓│サポート・お問い合わせ:シャープ
※pdfファイルへの直接リンクはやめておきます。 |
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著者の購入年 | 2017年10月 | |
著者の購入価格(購入店) | 1,210円(税込)(ヨドバシ.com)ポイント10%還元あり |
シャープの小数部桁数(TAB) 指定スイッチを搭載した電卓
の中で最安値のものと思われます(2017年10月13日現在)。
安いにも関わらず、[RM]キーと[CM]キーが分かれており、[CE]キーと[C]キーも分かれています。
1キーで複数の機能を持つことをできるだけ避けているのは好感が持てます。安くて12桁あるのも特徴です。
大きさはセミデスクサイズ(型番の EL-S~ はセミデスクサイズ電卓の意)という大型の電卓ですが、他のシャープのセミデスクサイズより一回り小型になっています。厚さも他のセミデスクタイプの半分程度です。
例えば、
EL-S752K-X
もセミデスクサイズですが、奥行197mm × 幅140mm × 厚さ26.5mm(公表値)と本機よりもかなり大型です。
本機の機能は上表のように実務電卓(一般電卓の一種でかつては事務用電卓と言われた)としての基本的な機能を押さえています。
しかし、基本機能以外の機能は少なく、税計算と[MU]キーくらいでしょうか。
[MU]キーは今では珍しくなったキーです。本機の前機種の
EL-S442-X
(2008年発売) が搭載していたので、2014年発売の本機にも搭載されたようです。
[MU]キーの機能(マークアップ計算)は原価・売価・利益に関する計算機能です。
この機能の操作は分かり難く、上表のように直感性のないものです(機種によって操作が異なることもあるようです)。
キー入力は記号的で演算子が数値を区切るものとしてしか機能していません。一応、キー入力が計算式を連想させるようになっていますが、計算式を覚えていないと連想できないのです。計算式を丸暗記するのはあまり現実的ではないでしょう。
結局のところ[MU]キーの操作を丸暗記するしかないのです。
しかし、実際には全部覚えても使わなかったら忘れてしまうので、本当に必要な操作だけ覚えるというのが現実的でしょう。
このように[MU]キーは操作に難点があり、最近の電卓であまり見かけなくなったのも当然でしょう。
ただし、CASIO の一般電卓のように[%]キーだけでパーセント計算とマークアップ計算を行うようにしてパーセント計算まで難解にしてしまったよりはマシかもしれません。
[MU]キーを除けば、本機の操作性は良好です。 メモリー操作をするキーがちゃんと2つ([RM][CM])に分かれていたり、クリア関連キーも3つ([CA][C][CE])に完全に分かれているので、本機よりも高価なものよりもむしろ操作性が良かったりします。 特にメモリー関連キーが2つあるのは大きな利点です。メモリー関連キーが1つしかない([RM]と[CM]が1つになっている)電卓ではメモリーの用途に制約ができてしまいます。
キーボードは価格の限界を感じます。
下の写真のようにキーの端を押すと、かなりの角度でキーが傾きます。
ところが、キーの端ではなく、中心から少し離れたところを押してもキーが傾きます。
キーの中心の反発力が強い反面、キーの端の反発力が弱いのです。
そのため、キーの中心から少し離れたところを押してもキーが傾いてしまいます。
しかもキーの表面が滑りやすいので、安定してキーを打ちにくいのです。
実は上位機種の SHARP CS-S952-X でもキーの端を押すと傾きます。 しかし、キーの中心から少し離れたところを押したくらいでは、あまり傾かないようになっています。 SHARP CS-S952-X のキーの中心の反発力が弱く、キーの機械的な構造が本機よりも良いので、キーが傾きにくいのでしょう。
打鍵音は上位機種の SHARP CS-S952-X より静かです(関数電卓などと比べるとうるさいが)。
キーが安定して押しにくいので、早打ちには向いていないようです。キー反応もそれほど良くないようです。
しかし、早打ちをしなければ、実用範囲内のものでもあります。
小数部桁数(TAB) 指定スイッチにも価格の限界を感じます。 上表のように選択肢が F,3,2,0,A しかないのです。他の実務電卓にはよくある1と4がないのです。 接点の少ないスイッチを使って少しでも原価を下げたいのでしょうけど、人によってはこれでは困る人もいるでしょう。 ちなみにラウンドスイッチに切上げはありません。
本機は電源がオートパワーオフしてもメモリーとGTが維持されます。
電源を再度入れるとメモリーとGTがそのまま残っています。
この特徴は一般的なものなのでしょうか?
私が持っている一般電卓で試したところ以下のような結果になりました。
機種名 | オートパワーオフ後のメモリーとGTの維持 |
---|---|
SHARP EL-S452-X | 維持する |
CASIO SL-350MT | 維持する(この機種はメモリーのみ。GT機能なし) |
CASIO JF-120GT | 維持する |
Canon HS-1220TSG | 維持しない |
オートパワーオフ時にメモリーとGTを維持できるかどうかは結構重要なことだと思うのですが、メーカーがそれを公表していないのは不思議です。
本機 EL-S452-X の説明書(14DSC(TINSJA080EHZZ) A9648)は酷い出来です。ボタンと表示の説明は断片的にしかしていません。
折角、クリア関連キーを[CA][C][CE]の3つに分けているのにその違いすらまともに説明していません。
定数計算やメモリーの説明も操作例がいきなり書かれているだけです。定数という言葉すら登場しません。事前に電卓の知識がないと理解は困難でしょう。
実売価格2,000円前後(2017年10月13日現在)で売られている EL-VN82(2014年発売)の説明書(14DSC(TINSJA079EHZZ) A9647)も同様に酷いものです。
ちなみに低価格帯の電卓でも古い機種の説明書はかなりマシです。
例えば、
EL-N732K
(2007年発売)の説明書(07FSC(TINSJ1330EHZZ))は全ボタンと全画面表示物の説明をしており、[C・CE]と[CA]の違いもちゃんと説明しています。定数計算とメモリーの説明も本機の説明書よりは多少親切に書かれています。
つまり、本機の説明書は退化しているのです。
最近のSHARPは低価格帯電卓の説明書をまともに作る気はないようです。
画面の角度を変更できるチルト機能は便利です。使用時は画面を上に上げて、見やすくすることができます。
携帯時は画面を下げて電卓を平らにして100円ショップで売っているクッションケースにでも入れておけば携帯性を確保できます。本機は大きさの割に薄いので、携帯性は他の大型電卓よりは良いでしょう。
電池交換は少し面倒です。電池蓋がないので、裏のカバーを外す必要があります。 詳細は上の画像集を見て下さい。
本機は低価格で目立った機能はないものの他の電卓では1つのキーにまとめられてしまうことが多い[RM][CM]と[CE][C]がちゃんと分かれており、オートパワーオフしてもメモリーとGTが維持されるなど基本的な機能がしっかりとしています。
他のセミデスクタイプ電卓(大型電卓)より一回り小型なのも本機の利点です。画面の角度を変更できるチルト機能も便利です。
低価格のため限界もあり、小数部桁数(TAB) 指定スイッチの選択肢に1と4がない、押しやすいとは言えないキー、そして電池蓋がないという欠点もあります。
しかし、低価格の割には完成度が高く、もっと注目されてもいい機種だと思います。