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CASIO MP-12R 余り計算電卓

CASIO MP-12R 正面写真 メーカー CASIO
型名 MP-12R
種別(メーカー分類) 一般電卓(一般電卓|余り計算電卓)
発売開始 2017年7月21日
製造終了 -
寸法 奥行 147 mm × 幅 103 mm × 厚さ 28.8 mm(公表値)実測値とほぼ一致
重量 115g(電池を含んだ公表値) 実測値の113gとほぼ一致
入力方式 標準方式
画面 白黒液晶7セグメント12桁+負号+状態インジケーター16個
CPU 不明
RAM 不明
ROM/Flash 不明
電源 CR2032 × 1 +太陽電池
プログラミング言語 なし
公式ページ MP-12R | 余り計算電卓 | 一般電卓 | 電卓 | CASIO
説明書URL MP-12R 取扱説明書ダウンロード
著者の購入年 2017年11月
著者の購入価格(購入店) 1,814円(税込)(ビックカメラ有楽町店)ポイント10%還元あり

概要

余り計算が簡単にできるということで話題になった機種です。

カシオの「余り計算電卓」が品薄になったワケ(東洋経済)

上の記事の通り、余り計算ができる一般電卓は以前からあったのですが、生産終了になっていたのです。
その後、調剤薬局や物流業界から要望があって新規に開発されたのです。

本機 MP-12R は余り計算だけ注目されていますが、この価格帯の電卓には珍しく日数計算と時間計算も搭載されています。
日数計算はうるう年ではないことが前提になっています。さらに片落の日数計算となっています。
例えば、11月10日〜11月11日の日数を片落で計算すると答えは1日になります(両入という計算方法だと2日になります)。

補足(2017年11月現在)
上の東洋経済の記事によると関数電卓は余り計算ができると書かれていますが、余り計算ができない関数電卓も存在します。
例えば、2016年9月までSHARPの最上位関数電卓だった SHARP EL-5160J-X は余り計算ができません。 Canon F-605G もできません。
余り計算ができない関数電卓は他にもあります。

目次

  1. 機能一覧(使い方)
  2. レビュー
    1. 余り計算
    2. その他の機能について
    3. 総評

機能一覧(使い方)

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レビュー

余り計算

本機の特徴は「余り計算」ができることです。その使い方を見ていきましょう。
例として、270÷21 を余り計算してみましょう。

最初に[2][7][0][÷余り]と入力します。[÷]の代わりに[÷余り]を使うのです。

270[÷余り]まで入力 [÷]キーと[÷余り]キー

次に[2][1]と入力します。

21と入力

最後に[=]を押すと答えが出ます。

余り計算の結果 12-18

12-18は商12、余り18の意味です。
このように非常に簡単に余りの計算ができます。

この余り計算の結果が表示されている状態でさらに演算子キー([+][−][×][÷][÷余り])あるいは[M+][M-]を押したらどうなるのでしょうか?
演算子の前に使われるのは、商?余り?
メモリーに加減算されるのは、商?余り?

それは設定で決める必要があります。
上の機能一覧にも書いたように[AC]キーを押してから[÷余り](商↔余り)キーを押して設定します。
[÷余り](商↔余り)キーを押す度に「余り」表示と「商」表示が切り替わります。

余り計算の余りを使う設定 余り計算の商を使う設定

これらのどちらかに設定したのかは、通常の状態で表示されないので、設定を覚えておく必要があります。 計算中に切り替えはできません。

これは良くない仕様だと思われます。 利用者としては結果が表示されているときに商を使うのか、余りを使うのかを選択したいはずです。
[÷余り](商↔余り)キーを[÷余り]キーと[商↔余り]キーの2つに分離して、結果が表示されているときに[商↔余り]キーを利用者に押させて、商あるいは余りを使うのかを選択させるべきでしょう。

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その他の機能について

符号反転キーがありません。そのため、負数の入力ができません。 計算を開始するときならば、0から任意の数値を引いて負数を作ることは可能です。 しかし、計算途中で負数を入力するのは不可能です。
(メモリーにあらかじめ 0-1 = -1 を入れておいて必要なときに乗算する方法もあるが、メモリーが他の用途に使えなくなる)

平方根キーもありません。2017年11月現在でも平方根キーがない一般電卓は多いのですが、必要な人は要注意です。

GT(Grand Total)もありません。これも必要な人は要注意です。

キーボードは特に押しやすいものではありません。 SHARP EL-S452-X CASIO JF-120GT のようにキーの端っこを押してしまうと、キーが傾いたまま沈むキーです。

キーが傾いたところ

ところが、キーを奥まで押し込んだときのグラつきが少ないので、キーの安定感は JF-120GT より良く感じます。
キーを押すのに必要な力も JF-120GT よりも軽く感じます。
その反面、打鍵音は大き目です。速く押さなくてもカチャカチャとした音が出ます。

キー配置も[1]キーの下に[00]キーがあったり、[0]キーの上に[AC]キーがある奇妙な配置です(CASIO の中程度の大きさの電卓に多い配置)。
表示桁数が12桁と多いので、[00]キーを付けたくなる気持ちは分かりますが、せめて[0]キーと[00]キーの位置を入れ替えてもいいのではないでしょうか。
さらに[C]キーと[AC]キーの位置も入れ替えれば、[AC]キーを誤って押す確率は低くなり、キー配置はかなり改善されます。

日数計算と時間計算の操作方法はやや混乱気味に感じます。
日数計算をするときは、[AC]+月数入力+[日数/時間]と操作して、日数計算モードに入ります。
時間計算をするときは、[AC]+[日数/時間]と操作して、時間計算モードに入ります。
(操作の詳細は機能一覧を参照して下さい)

日数計算と時間計算を1つのキーで行っているので、分かり難くなっています。
これは本機だけの問題ではなく、同一機能を搭載した CASIO の他の機種( DS-20DB など)でも一緒です。
素直に[日数]キーと[時間]キーに分けた方が良いのではないでしょうか。

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総評

利点

  1. 余り計算が簡単。
  2. この価格で日数計算と時間計算の両方を搭載しているのは珍しい。
  3. メモリーのクリアと呼出のキーが[MC][MR]の2つに分かれている。
  4. 比較的小型である。手帳サイズよりは大きいが、実務電卓(事務用電卓)よりは小型。

欠点

  1. 平方根がない。
  2. 符号反転キーがない。
  3. [1]キーの下に[00]キーがあったり、[0]キーの上に[AC]がある奇妙なキー配置。
  4. キーは特に押しやすくはない。
  5. 余り計算の結果を表示しているとき、次の計算で商を使うのか余りを使うのかをその場で選択できない。
  6. 日数計算と時間計算の操作方法が少しややこしい。

GT(Grand Total)がないことに関しては一概に欠点とは言えないので、欠点から除外しました。

本機のパッケージ(画像集参照)にも書かれているように調剤と物流に特化した仕様になっているようです。
符号反転キーと平方根がないのはそのせいでしょうか。 この価格帯の一般電卓では珍しい日数計算と時間計算の両方を搭載しているのも調剤・物流業界の要望なのかもしれません。

その代わり、それ以外の用途で使用するには微妙な仕様になっています。 購入する際は上述の欠点が問題にならないのかを検討してから購入するべきでしょう。

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