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主な電卓メーカー

電卓の世界市場規模は、以下の5社だけで世界シェアのほとんどを占めていると思われます。

  1. カシオ計算機
  2. シャープ
  3. キヤノン
  4. テキサス・インスツルメンツ
  5. HP Inc.(旧ヒューレット・パッカード)
  1. カシオ計算機

    社名の通り、創業時からリレー式計算機を作っていた計算機の老舗です。
    2021年現在の主力商品は腕時計ですが、電卓も未だに作っています。
    2020年3月期 決算説明会(つまり2019年度)によると、カシオの2019年度の教育関数事業(電卓)の売上は404億円です。

    世界最初のグラフ電卓 fx-7000G(1985年)を発売したグラフ電卓の先駆者です。

    2015年に高解像度液晶を搭載した関数電卓 fx-JP900 を発売し、関数電卓を次の時代に進めました。
    さらに同年に約3万円もする高級実務電卓 S100 を発売し、良くも悪くも話題を呼びました。
    未だに電卓の世界で先駆者であり続けている企業です。

    グラフ電卓でテキサス・インスツルメンツ社と激しい競争を繰り広げています。

    2021年現在、一般電卓、プリンター電卓、金融電卓、関数電卓、プログラマブル関数電卓、グラフ電卓と多くの種類の電卓を販売しています。

  2. シャープ

    総合家電メーカーです。液晶パネルの過剰投資で自滅し、2016年から鴻海精密工業(台湾)の傘下に入りました。

    世界最初のオールトランジスタ電卓 COMPET CS-10A(1964年)を発売した電卓の老舗です。
    世界初のポケットコンピューター PC-1210/1211(1980年)を発売した会社でもあります。

    かつてはグラフ電卓を盛んに開発していましたが、今では EL-9950 を最後にグラフ電卓の開発をしていないようです。

    2018年現在、一般電卓、プリンター電卓、金融電卓、関数電卓を発売しています。

  3. キヤノン

    光学・事務機器メーカー。2018年現在、主力事業は複合機ですが、カメラも有名です。

    1964年に世界最初のテンキー電卓と呼ばれる「キヤノーラ130」を発売しており、かなり昔から電卓を開発・製造・販売してきた会社です。
    ただし、グラフ電卓を作ったことはないようです。

    2018年現在、一般電卓、プリンター電卓、金融電卓、関数電卓を販売しています。
    関数電卓にあまり力を入れておらず、一般電卓が主力商品のようです。

    (補足)
    世間一般に世界初のテンキー電卓は、1964年10月発売の「キヤノーラ130」ということになっています。しかし、それより前の1964年4月にテンキー搭載電卓「大井電気 アレフゼロ101」が発売されています。さらに「Friden EC-130」(1964年8月に高級ホテル「ウォルドルフ=アストリア」で発表)もテンキーを搭載していました。
  4. テキサス・インスツルメンツ

    半導体メーカー。同社に勤務していたジャック・キルビー氏は集積回路(IC)の発明者の1人です。

    2018年現在、アメリカ合衆国のグラフ電卓市場で独占的地位を確保している企業です。
    2004年に発売した TI-84 Plus が同社のグラフ電卓独占体制を強固なものにしました。
    同社がグラフ電卓に参入したのは1990年であり、他社(カシオ、シャープ、HP)と比べると後発だったのですが、教育市場向けにグラフ電卓を販売する戦略が成功し、グラフ電卓で多大な利益を上げています。

    TI-84 Plus は多くの改良型が存在しますが、2018年現在、初代も未だに売られています。
    TI-84 Plus シリーズの最新機種は TI-84 Plus CE(2015年)です。

    同社はグラフ電卓に最も力を入れていますが、一般電卓、金融電卓、関数電卓も販売しています。

    (参考)「翻訳:アメリカのグラフ電卓事情(テキサス・インスツルメンツ社の独占)」

  5. HP Inc.(旧ヒューレット・パッカード)

    IT業界の巨大企業ヒューレット・パッカードが2015年11月に会社分割されて、HP Inc.Hewlett Packard Enterpriseの2社に分かれました。
    HP Inc. が PC・プリンタ事業を引き継ぎ、Hewlett Packard Enterprise がサーバー・ネットワーク事業を引き継いでいます。

    現在、電卓を販売しているのは、HP Inc.です。

    旧ヒューレット・パッカード社は、電卓のパイオニア的企業でした。
    1968年に世界最初の関数電卓 HP 9100A を発売。
    1972年に世界初のポケットに入る関数電卓 HP 35 を発売。
    1990年に世界初の教科書表示入力(自然表示入力)を搭載した HP 48SX を発売。

    同社の電卓の特徴はRPN(逆ポーランド記法)あるいはRPL言語(RPNに基づいた言語)を搭載していたことです。しかし、それらの特徴が時代遅れになり、消費者に受け入れられなくなるとシェアが大幅に低下しました。

    2001年に電卓事業が閉鎖され、電卓の技術者が解雇されました(HP Calculator Department Closing)。
    数年後に電卓事業を再開したのですが、それ以降のHP電卓の大半は台湾の Kinpo Electronics が開発しています。

    2018年現在、金融電卓、関数電卓、プログラマブル関数電卓、グラフ電卓を販売しています。一般電卓は販売していません。
    特に金融電卓 HP 12c シリーズは、1981年から続くロングセラーです。その1つの HP 12c Platinum は、このサイトでも紹介しています。