メーカー | CASIO | |
型名 | DS-20DB | |
種別(メーカー分類) | 一般電卓(一般電卓|本格実務電卓) | |
発売開始 | 2016年2月5日 | |
製造終了 | 2021年5月21日に後継機種DS-20DCが発売された頃に製造終了が発表された。 | |
寸法 |
奥行 189mm × 幅 137mm × 厚さ 23.5mm(公表値)
※実測値は公表値とほぼ一緒だった。 |
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重量 |
265g(公表値)
263g(電池を含む実測値) |
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入力方式 | 標準方式 | |
画面 | 白黒液晶 7セグメント12桁+負号+状態インジケーター16個 | |
CPU | 不明 | |
RAM | 不明 | |
ROM/Flash | 不明 | |
電源 | CR2032 × 1 +太陽電池 | |
プログラミング言語 | なし | |
公式ページ | DS-20DB | 本格実務電卓 | 一般電卓 | 電卓 | CASIO | |
説明書URL | DS-20DB 取扱説明書ダウンロード | |
著者の購入年 | 2018年2月 | |
著者の購入価格(購入店) | 7,506円(税込)(ビックカメラ有楽町店)ポイント10%還元あり |
CASIO は一般電卓の中で特に高価な実務電卓(事務用電卓)を「
本格実務電卓
」と分類しています。
本機 DS-20DB はその1つです。
2016年2月5日に発売された DS-3DB, DS-2DB, DS-20DB, JS-20DB の4機種が最新型の本格実務電卓です(2018年3月4日現在)。
これらの機種の特徴は3キーロールオーバー(後述)という早打ちをさらに追求した機能です。
CASIO の電卓で最初に3キーロールオーバーを搭載した電卓は
プレミアム電卓 S100
(2015年9月30日発売)でした。
その技術が CASIO の本格実務電卓にも導入されるようになり、DS-3DB, DS-2DB, DS-20DB, JS-20DB が販売されるようになったのです。
今回、CASIOの本格実務電卓から DS-20DB を選んだ理由は、以下のような消去法的理由です。
ということで DS-20DB が最も無難な選択と判断しました。
DS-20DB は筆者が初めて購入した高級実務電卓の1つです。
上写真の左から
Canon HS-1220TSG
、
SHARP EL-S452-X
、そして本機 CASIO DS-20DB です。
今までに紹介した大型電卓と比べてもさらに一回り大きいのが分かります。
上の写真は斜め下から見たところです。
左の Canon HS-1220 はキーボードから画面に至るまで強い傾斜が付けられているので、高くなっていることが分かります。
中央の SHARP EL-S452-X は大型電卓の割には薄く作られています。画面角度が調整できるようになっているからです。
右の本機 DS-20DB は前面パネルに軽い傾斜が付けられており、 Canon HS-1220 ほど高くなっていません。
本機 DS-20DB の前面パネルに強い傾斜が付いていないのは、本体内部の液晶パネルに強い傾斜を付けているからです。
本機 DS-20DB が今時の電卓としては大きな部類なのは間違いないでしょう。
本機 DS-20DB を購入する前に店頭で試用したとき「こんなフニャフニャした感触のキーが使いやすいのだろうか?」と思っていました。
キーを押し始めると反発力が弱く、キーストローク(キーの上下動の長さ)が長いので、フニャフニャした感触がするのです。
押し込むと弱いクリック感を感じます。
しかし、実際に DS-20DB を購入して使ってみると打ちやすいキーであることが分かりました。
キーストロークが長いので、深く押さないといけないように見えるのですが、奥まで押し込まなくても反応するのです。
キーの反発も弱いので、軽く押しても反応します。
キー同士の間隔も広いので打ち間違いし難くなっています。
本機のキーはキーの端を押すと斜めに傾くキーです。
これは意外でした。一般的にこの手のキーは安定して打ちにくいことが多いのです。
PCの世界だとこのようなキーは嫌われます。
しかし、本機のキーは打ちやすいのです。
その理由はよく分からないのですが、深く押す必要がないことと、キーの反発が弱いことが関係しているのかもしれません。
本体裏面にゴム足が4つ付いているので、しっかりと設置できるのも打ちやすさに一役買っています。
本機のキーのフニャフニャした感触はあまり好きではないのですが、雑に押しても反応してくれることに気がつくと打ちやすく感じるようになります。
筆者は今まで「キーの感触の良さ ≒ 打ちやすさ」と思っていたのですが、本機によってその概念を覆されました。
本機 DS-20DB のキーは「サイレントタッチキー」と呼ばれており、音が静かとされています。
キーの感触がフニャフニャしているのは、打鍵音を小さくするための副作用のようです。
しかし、本機でも打鍵音はそれなりに発生します。名前から想像するよりも打鍵音は大きいと思いました。
ただし、高音を抑えた打鍵音なので、激しく打ってもそれほど耳障りな音にはなりません。
安い実務電卓のようなカチャカチャとした音は出ないので、それらと比べると音が静かと言えるでしょう。
では、一般電卓(実務電卓含む)以外のキーと比べると静かと言えるでしょうか。
実は私が持っている全ての関数電卓、金融電卓、そしてグラフ電卓のキーよりサイレントタッチキーの打鍵音の方が大きいのです。
サイレントタッチキーはあくまでも実務電卓の中では静かなだけなのです。
本機の特徴である「3キーロールオーバー」について説明します。
簡単に言うと
「キーの先打ちが2手先までできる」
ということです。
つまり、以下のように操作することが可能です。
操作 | 押下されているキー | 表示 | 説明 |
---|---|---|---|
[AC]を押して離す | なし | 0. | クリアしておく |
[9]を押したままにする | [9] | 9. | |
[9]に加えて[5]も押したままにする | [9][5] | 9. | この時点では[5]を確定しない |
[9][5]に加えて[1]も押したままにする | [9][5][1] | 9. | この時点では[1]を確定しない |
[9]だけ離す | [5][1] | 95. | [5]が確定 |
[5]だけ離す | [1] | 951. | [1]が確定 |
押したキーを離さないようにしながら、3つのキーを順番に押すと、3つ同時押しの状態になります。
そして、押した順番に指を離せば、正常に入力ができます。
これが3キーロールオーバーです。
上表の最後の状態([1]を押したままにしている)からさらに3キーロールオーバーを続行することもできます。
キーの先打ちが2手先までできるので、早打ちに有利になるとされています。
早打ちをしていたら意図せずに3キーロールオーバーが必要な打ち方をしてしまうことはありえます。
しかし、大半の電卓は2キーロールオーバーですし、それで十分な早打ちができるのも事実です。
本機のキーの打ちやすさを3キーロールオーバーのおかげとしている人をネット上で見かけますが、3キーロールオーバーはあくまでも「キーの先打ちが2手先までできる」だけであって、打ちやすさとは無関係です。
実際には、CASIO が3キーロールオーバーに相応しいキーを作ったから打ちやすくなっただけかと思われます。
その証拠に同じく3キーロールオーバーを搭載した
Canon KS-2200TG
と
Canon BS-2200TG
はキー反応が悪いとの評判です。
3キーロールオーバーを搭載してもキーの品質をそれに相応しいものにしないとキーは押しやすくならないのです。
2018年3月4日現在、それらの2機種は
旧製品
扱いになっています。
旧製品になったのは最近のようです。評判が悪すぎて生産終了になったのでしょう。
4キーロールオーバーという言葉に爆笑しました。この人は未来から来たのでしょうか(2018年3月現在、4キーロールオーバーの電卓は存在しない)。
完全に「簿記検定ナビ」の管理人の勘違いということです。
液晶画面の見やすさは下位機種と大差ありません。
CASIO JF-120GT
と
CASIO MP-12R
と比較しても本機 DS-20DB の方が文字が大きいくらいしか違いがありません。
それらの機種と同様に液晶画面の背景色は灰色なので、照明が明るいところでないとそれほど見やすくありません。
本機のキーボードは銀色の金属板で装飾されており、照明の当たり方によってはまぶしく感じます。
高級感を出すためかもしれませんが、他の方法はなかったのでしょうか。
上の機能一覧を見ても分かるように日数計算をするときは、[AC]キーを押してから、月数を入力した後で[日数/時間]キーを押す必要があります。
これは分かり難いと思います。[日数/時間]キーを押す前に月数を入れることを忘れてしまうと日数計算ができなくなります。
一方、時間計算をするときは、[AC][日数/時間]と入力するだけで時間計算モードになるので、日数計算よりは分かりやすくなっています。
時間計算しかできなかった電卓のファームウェアに日数計算の機能を後から強引に入れたような感じの仕様です。
余り計算電卓 CASIO MP-12R
も同様の問題を抱えています。
筆者が初めて買った高級実務電卓の1つですが、キーの感触が良いとは言えないのにキーが打ちやすいのは意外でした。
3キーロールオーバーが絶対に必要なのかどうかは分かりませんが、ないよりはあった方が良いでしょう。
機能も十分だと思います。
本機 DS-20DB にマルチ換算(為替レート計算)と検算機能はありません。
その代わり、より重要な平方根と日数計算と時間計算が搭載されています。
経理や簿記で使う人だけでなく、一般の人にも役立つ機能が選ばれて搭載されています。
しかし、本機 DS-20DB の価格は高すぎると思います。ビックカメラ有楽町店で7,506円(税込)もしました(2018年2月下旬)。
ポイント10%が還元されますが、ポイントは現金ではないので、7,506円(税込)と思うべきでしょう。
本機と一緒に
SHARP CS-S952-X
も買ったのですが、4,428円(税込)で買えました。
SHARP CS-S952-X は本機よりもむしろ機能が多いくらいです。
その反面、SHARP CS-S952-X のキーは2キーロールオーバーであり、押しやすさは本機ほど良くありません。
とは言え、本機が SHARP CS-S952-X よりも3,078円も高いのは疑問です。
本機 DS-20DB の裏面の外観は安っぽく、そういう点でも本機の価格に納得いきません(
画像集
参照)。
こんなに安っぽい裏面にするのならば、
HP 12c Platinum
の裏面のように操作例でも印刷してくれればいいと思うのですが。
例えば、CASIO特有の複雑な[%]キーの機能や少し分かり難い日数計算の仕方でも印刷されていれば役立つはずです。
本機 CASIO DS-20DB は割高なので、3キーロールオーバーのサイレントタッチキーに金を払えるのかどうかが購入の決定を左右することになるでしょう。