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2017年3月24日 作成
2017年6月22日 ベンチマークについて追記

CASIO fx-JP900

fx-JP900 正面写真 メーカーCASIO
型名fx-JP900
種別関数電卓
発売開始2015年2月
製造終了 -
寸法奥行 165.5mm × 幅 77mm × 厚さ 11.1mm(ボタンを入れると約13mm)
スライドケース背面装着時 : 奥行 約168mm × 幅 約81.5mm × 厚さ 約16mm(実測値)
重量94g(電池含む。メーカーによると90g)、130g(スライドケース装着時)
いずれも実測値
入力方式教科書表示方式
画面白黒液晶 192 × 63 画素+状態インジケーター12個
CPU不明
RAM不明
ROM/Flash不明
電源LR44 × 1 +太陽電池
プログラミング言語なし
公式ページfx-JP900 | スタンダード関数電卓 | 関数電卓 | 電卓 | CASIO
説明書URLfx-JP700/JP900 取扱説明書ダウンロード
著者の購入年2016年2月
著者の購入価格(購入店)4,190円(ビックカメラ有楽町店)

概要

CASIOが半導体から完全に新規設計した関数電卓シリーズ fx-JP500/700/900 の最上位機種です。その圧倒的な高性能は従来の非グラフ関数電卓を全て時代遅れにしてしまいました。非グラフ関数電卓にも関わらず、高解像度液晶を搭載し、高速な計算が可能です。関数電卓が新時代に入ったことを我々に告げているような気がします。

開発の経緯は週刊アスキー「異様に欲しくなった電卓の話 カシオCLASSWIZ」に書かれています。

レビュー

本機 fx-JP900 は私を電卓マニアにした張本人の機種です。本機に出会うまでは CASIO fx-4800P と SHARP EL-5120 を使っていたのですが、どちらも満足できなくて「所詮、関数電卓なんてこんなものだろう。昔使っていたポケットコンピューター SHARP PC-1250 の方が良かった」という考えでした。そのため、関数電卓に関心がなかったので、fx-4800Pを約20年、EL-5120を約12年も使い続けることになりました。しかし、本機 fx-JP900 を購入してから考えが変わりました。プログラミング機能はないものの画面表示の美しさと親切さ、教科書表示入力の操作性の良さ、そして機能の多さが自分の抱いていた関数電卓の印象を遥かに越えたものだったからです。

本機の最大の特徴は親切な画面表示です。従来の関数電卓は英語の短縮表記でメニューを表示していましたが、本機 fx-JP900 では高解像度液晶を活用して日本語で表示してくれます。英語も短縮しない綴りで表示できるようになったので、英語でも分かりやすくなりました。そのため、説明書を見る回数が大幅に減ったのです(と言っても説明書が不要になったわけではなく必要ではある)。

さらに非グラフ関数電卓としては圧倒的な計算速度を誇ります。
例えば、「ln(x)+sin(x)+cos(x)」を 1 から 10π まで積分したときの計算時間を複数の機種で比べると以下のようになります(ラジアン単位で計算)。
この実験結果は1つの式の結果に過ぎないので、参考程度にしてください。

機種出力結果(桁数)計算時間
TI-84 Plus CE(グラフ電卓 CAS無)76.58349891(10桁)約4秒
CASIO fx-JP90076.58349891(10桁)約12秒
HP 50g(グラフ電卓 CAS有)76.5834989066(12桁)約24秒(CAS設定 : Real and Approx)
Canon F-789SG76.58349891(10桁)約54秒
CASIO fx-375ES76.58349891(10桁)約57秒
CASIO fx-915ES-WE76.58349891(10桁)約57秒
SHARP EL-5160J-X76.58348927(10桁)約59秒

ちなみにPC用数式処理ソフト wxMaxima で求めた値は、76.58349890660854(16桁) でした。これを基準にすると、SHARP EL-5160J-X 以外は正確な数値を出しています(結果が四捨五入されていることに注意)。

それにしても SHARP EL-5160J-X の出した数値はかなり酷いです。10桁中4桁が間違えた値です(赤字の部分)。しかもこの表の中で最も計算に時間がかかっています。EL-5160J-X は積分計算においてシンプソン法の分割数を指定されないとき、分割数を100にするということになっています。そこで、分割数を200にして再計算すると、ほぼ2倍の約114秒もかかって「76.5834983(9桁)」という結果を出しました。改善はしましたが、結果の桁数が1桁減った上にまだ1桁間違えています(赤字の部分)。分割数をさらに増やせばもっと改善するのかもしれませんが、さらに時間がかかることになるので、実用になりません。
しかも EL-5160-X は 2016年10月まで SHARP の非グラフ関数電卓の最上位機種でした。そのため、Canon F-789SG や CASIO fx-375ES よりも高額です。2017年3月24日現在、Amazon Japan で F-789SG は1,610円、fx-375ES は1,632円で売られています。一方、EL-5160-X は3,490円もします。SHARPはどうしてしまったのでしょうか?

話を戻しますが、上の表のように CASIO fx-JP900 は非グラフ電卓の中では圧倒的な高速性能です。
グラフ電卓 TI-84 Plus CE には負けてしまいましたが、TI-84 Plus CE は大容量バッテリー(1200mAh)を搭載しています。一方、fx-JP900 はボタン電池 LR44(100mAh程度) と太陽電池だけで動いていますので、圧倒的に不利です。
それでも fx-JP900 は グラフ電卓 HP 50g より2倍高速です。ただし、HP 50g は2006年発売開始と古い上に ARM CPU 上で Saturn 4bit CPU をミュレーションしているという速度的に不利な構造です。さらにCAS(数式処理システム)があることによって内部処理が複雑なことと出力結果が12桁であることを差し引く必要があります。それでも単4電池 × 4本で動作する HP 50g より fx-JP900 が高速なのは特筆に値します。

2017年6月22日追記
その後、もっと詳細な性能測定を行いました。以下の2つです。 詳細な測定によると、fx-JP900 が HP 50g を上回るのは積分計算で積分区間が短いときだけでした。やはり上のような簡単な試験で性能を決めつけてはいけないのです。しかし、一部条件とはいえ、非力な電源の fx-JP900 が HP 50g を超えたのは特筆するべきことでしょう。

現時点(2017年3月)では fx-JP900 に対抗できるのはグラフ電卓だけという感じですが、fx-JP900 にも欠点はあります。本体に印刷された文字が非常に読み難いのです(下の画像をクリックして拡大してみましょう)。

浮き彫りのような模様

このように本体の表面に浮き彫りのような模様が刻まれており、光が乱反射するのです。印刷された文字の発色も良いとは言えません。この見難さは照明によって変わるのですが、平面光源に近い照明ほど見やすくなるようです。しかし、照明を選ばないといけない電卓なんておかしいのではないでしょうか。そもそもこの模様は何のためにあるのでしょうか?

さらに fx-JP900 は使えない機能があります。私が無駄に思った機能は以下のものです。

  1. エンジニアリング記号:k(10^3),M(10^6),G(10^9)などの10の累乗倍を示す記号を使える。
  2. QRコード機能:計算結果をQRコードに変換して、スマホで読み取らせるとWebブラウザで数式、グラフ表示ができる。
  3. 表計算機能:簡易なEXCELのようなことができる。表に関数を入れることができる。
エンジニアリング記号はメニューから記号を入れないといけないので、操作の手間を考えるとあまり使えない機能です。
QRコード機能は fx-JP900 にQRコードを表示させてからスマホ専用ソフト「CASIO EDU+」で読み取らせて、スマホ上のWebブラウザで数式、グラフを表示するという機能ですが、手間がかかりすぎます。しかもグラフの描画範囲の調整ができないので、実用性に疑問があります。
最大の無意味な機能は表計算機能につきます。表計算モードを別モードへ切替すると表の内容が全部消えてしまいます。そもそも外部データ出力機能のない本機に表計算させて何の意味があるのですか?

ただし、上述の機能は使わなければそれほど害はないと思います。私が機能的に問題だと思ったのは電源OFFで計算履歴が完全に消えてしまうことです。これは他のCASIOの関数電卓やCanon F-789SGも同様ですが、資格試験対応のために計算履歴を削除しているようです。さらにモード切替をするとたいていのことは忘れてしまいます。忘れないのは変数程度です。
ちなみに SHARP EL-5160J-X は電源OFFでも計算履歴を残してくれます。さらに上述の表中のグラフ電卓のHP 50gとTI-84 Plus CEも電源OFFで計算履歴を残してくれます。

このように欠点もあるのですが、親切な表示とその性能は素晴らしく、私が電卓マニアになるきっかけを与えてくれた機種でした。

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