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▼ 変更履歴

CASIO fx-4800P

CASIO fx-4800P 正面写真 メーカー CASIO
型名 fx-4800P
種別 プログラマブル関数電卓
発売開始 1996年
製造終了 製造終了しているが、その年月不明
寸法 閉じた時 : 奥行 157mm × 幅 81.5mm × 厚さ 15mm
開いた時 : 奥行 157mm × 幅 165mm × 厚さ 11mm(ボタンを入れると約13mm)
重量 133g(電池込み)
入力方式 ライン表示方式
画面 文字単位のドットマトリクス(文字と文字の間の隙間に液晶がない)。16文字 × 4行。1文字は5×7画素。状態インジケーターは16個
CPU 不明
RAM 不明(プログラム用は4500バイト)
ROM/Flash 不明
電源 CR2032 × 2(1つはRAMのバックアップ用)
プログラミング言語 本機独自の特殊なプログラミング言語
公式ページ なし
説明書URL fx-4800P 取扱説明書ダウンロード
著者の購入年 1996年10月
著者の購入価格(購入店) 不明(マルゼン無線 カシオショップ)

概要

ポケットコンピュータの全盛期が去り、プログラミング関数電卓も少なくなってきた時期に発売されたものです。
fx-4800P が発売されたのが1996年です。後継機種は2006年に発売された fx-5800P なので、10年もの歳月がかかっています(厳密にはfx-4850Pというものもあったが、マイナーチェンジにすぎない)。
1990年代後半ですらプログラミング関数電卓は需要のないものになってしまったのでしょう。1995年に発売された Windows95 によるPCブームの影響もあったと思われます。
プログラミング言語は名称のない独特なものです。

レビュー

1996年当時、会社でポケットコンピュータ SHARP PC-1250 を使っていたのですが、家で使う電卓も欲しくなって購入したものです。PC-1250と同様にライン表示入力ができる上に4行も表示できるので、電卓も進んだものだなと思った記憶があります。微積分演算もできるので、関数電卓としては十分な機能を持っていました。
ただし、積分計算はシンプソン法ですので、精度は期待できません。

しかし、自分的にはプログラミング言語が気に入りませんでした。他に似た言語が思いつかない奇妙な文法の言語でした。この言語の最悪なところは、普通の入力命令がないことです。その代わり、 「プログラム中で値が代入されていない変数(値が未確定の変数)があると、プログラム実行時の最初に自動的にそのような変数の値をユーザーに入力させる」 という奇妙な仕様でした。そのため、任意のタイミングでユーザーに数値を入力させることができません(実は裏技的にやる方法がある。後述)。

一般的には、fx-4800P の言語で作れるプログラムは最初にユーザーに値を入力させてから結果を表示するだけのものです(後述の裏技を使わない場合)。しかも特殊な記号をメニューから入れないといけないことが多く、手間がかかります。こんな言語しか搭載していないのではPCの方が便利に思われても仕方がないと思いました。このプログラミング言語は私はほとんど使いませんでした。プログラミング言語については画像集も参照してください。

結局、「関数電卓なんてこんなものか。フルキーボードのあるポケットコンピューター SHARP PC-1250 の方が良い」という考えになり、関数電卓に期待しなくなりました。その後は会社用に PC-1250 を使い続け、家では fx-4800P を使いました。fx-4800P はプログラミングを避ければ、普通の関数電卓として問題なく使えます。その後、PC-1250 の液晶画面が劣化したので、2004年に会社用として SHARP EL-5120 を購入したのですが、それにも満足できませんでした。結局、関数電卓に良い印象は持てませんでした。そのため、買い替えもせずに fx-4800P を2016年2月まで使っていました。20年ほど使ってきたわけです。画像集を見ても分かるように経年劣化で液晶も傷んでいます。液晶が傷んできたので、新しいものを買おうと家電店に行くと CASIO fx-JP900 に出会ったのです。それが私が電卓マニアになるきっかけでした。

裏技的ですが 「任意のタイミングでユーザーに数値を入力させる」 方法が一応あります。

  1. プログラムの先頭で Fixm 命令を実行する(全変数の値が確定された状態になる)。
  2. ユーザーに数値入力させたいタイミングで {変数名} 命令を実行すると、その変数が未確定になり、電卓がユーザーに数値入力を要求する。

Fixm 命令(変数確定命令)で「全変数の値が確定された状態」にできます。 具体的には、COMPモード(通常の計算モード)で設定されている値に確定されます。 これによって変数の値の入力動作を防止します。 本来はユーザーが COMP モードで設定した値をそのままプログラムで使いたい時に使用する命令のようです。

{変数名} 命令は「変数入力命令」と呼ばれ、本来は「変数の値を再入力する命令」です。 しかし、 この命令自体に入力する機能はなく、指定された変数の値を未確定状態にするだけ です。 「プログラム中に未確定の変数があると自動的に変数の値の入力動作を行う」という電卓の仕様を利用して入力動作を起動しているだけなのです。

以上のような方法を使わないと「任意のタイミングでユーザーに数値を入力させる」ことができないのです。 変数の内容が確定なのか未確定なのかを意識しないとプログラミングができないので不便です。

そもそも「プログラム中に未確定の変数があると自動的に変数の値の入力動作を行う」という仕様が不要なのです。 この仕様のせいで Fixm 命令という余計なものが必要になっているのです。
この仕様はさすがに不便だったせいか、後継機種 fx-5800P では廃止されており、普通の入力命令が追加されています。

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